
どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第2章 化け猫+悪魔=笠井歩
僕は、ズボンと下着を脱いで体育服だけになった。
火照る身体と、外の空気の冷たさが丁度良い。
「穂浪くん、こっち向いて。」
火照る身体に、意識を浮かされながら歩くんの方へ向く。
向いた瞬間、なにが起きたのか、僕はベッドに押し倒されてて、口の中が鉄の味がした。
殴られたんだって気付いたのも、十秒経ってからだった。
それに、十秒の間にどうやったのか僕の視界は真っ暗になっていた。
どうやら目隠しをされたらしい。
痛い…痛い…
ボールを頭にぶつけられるより痛い。
「いったっ…歩くん、何でっ?」
喋った後に、口の中に違和感を感じた。
何か、口に差し込まれてる…?
「五月蝿い、耳障りだから喋んな。」
「歩くん…?」
怖い…
歩くんは昨日よりも更に声色は低くなり、唸るように、僕の恐怖心を煽るように耳元で話す。
「気安く呼ぶな。後、次喋ったらお前の口裂けるから。」
「ヒュッ…!?」
僕の息だけが、この空間の音になる。
歩くんは、刃物を僕の口の中に入れたらしい。
「穂浪くんって、案外淫乱だったんだねー、アイツ…アイラ、っつったけ?ソイツにも気に入られちゃってさー、ただのパシりじゃなかったの?あー、もしかしてコッチの相手もシてたの?」
「んッ!?…ふ」
そう言いながら、穂浪くんの手の平が僕の自身を掴んだ。
痛い!潰れる!!
「グッ…た…ゃッ」
「声出すなって言ったの分かんない?…これぐらいのことで悶えてんじゃねーよ。」
やだよ…怖いよ…
殺気を感じて、身体が無意識に震える。
「ッ…ふッ…ぅ」
みっともない…また、泣いてしまうなんて…
「黙れ、殺しちゃうよ?」
歩くんがこんなヒトだなんて…、昨日のでもう充分だ…
もう、これ以上…歩くんの怖い所なんて知りたくない…
頬に感じる生暖かくて柔らかいそれは、僕の涙を拭った。
