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どうして?僕が攻めじゃ不満なの?

第4章 思い

「ぁッ…歩くんッ」


首筋を刺激されながら、プチプチと制服のボタンを外される。


「穂浪…好きだよ。」


歩くんは、僕の目を見ながら言った。

…嘘だ。

また、気まぐれ?

さっきの子といちゃついているのを見られたから、言い訳みたいなことしようとしてるの?

本当に、僕のこと好きなの?


ひねくれた自分が、歩くんに訴える。

「好き」って言われて、嬉しいくせに。
本気だと思ってる癖に。


「穂浪くん?なんで…そんな、悲しそうに泣いてるの?」


あぁ…駄目だっ…僕は、やっぱり泣き虫だ。

こんなん、全然泣くほどのことじゃないっ…

こんな事じゃ、女の子だって泣かないよっ


「どうしたの?」


相変わらず、優しい顔して僕の涙を拭い、頬にキスをしてくれる歩くん。


歩くん…僕じゃ…駄目なんでしょ?


僕じゃ物足りないから…、さっきの子に…


「ぅ…っやだっ」


気付けば口から思いが溢れた。


「ん?何が嫌?」


僕の頭を撫でて、落ち着かせようとする歩くん。


「好きって…言わないでっ」


クラスの人気者で、アイドルで…化け猫で鬼畜でドSで意地悪で、腹黒で…


そんな歩くんを本気で好きになってたのって…僕じゃないか。


自分の思いに気付かされて、でも、遊び人の歩くんは…絶対僕だけを見てくれることはない…。

もし、付き合ったとしてそんなんでも僕は嫉妬しない自信がないよ。

絶対、エッチの間だけでも歩くんの愛した人に嫉妬して、毎回落ち込んで、泣いて目を腫らす自信がある。


「なんで、好きって言っちゃ駄目なの?」


なんでよ…。

なんで聞く?

分かってるじゃん。
「っ僕が…本気にするからっ」

歩くんは分かってない。

一途に愛されたい人の気持ち。

きっと、君のエッチの相手をしてる人の中にも僕と同じ考えの人が居るじゃないかな。

僕は、歩くんを独り占めしたい。

僕は、歩くんを束縛したい。

僕は、歩くんを幸せにしてあげたい。


けど…、僕の願いは、歩くんを幸せにするには僕が不幸にならなきゃ駄目なんだ。


僕は…歩くんの奴隷だから、歩くんに引きずられてでもついて行かなきゃいけなくて…、でも、主人である歩くんを、奴隷の僕が引きずって連れて行くことも出来ない。

…悲しい、虚しい

歩くんに、一途に愛されたい。

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