どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第4章 思い
「なんで本気になっちゃ駄目?」
歩くんは、まだ優しいままだ。
特にクラスで仮面を被った鬼でもなく、いつもエッチするときの意地悪な歩くんでもない。
本当に、ナチュラルな歩くんだ。
「歩くっん…は、本気じゃないっ。だけど、僕っ歩くんの「好き」を本気にしたらっ、好きで好きでっ歩くんのっこと四六時中っ忘れられなくなっちゃうよっ」
ナチュラルな歩くんは、僕のこの言葉によって豹変した。
「僕が穂浪を好きなの、本気じゃないって思ってるの?それなら、大分勘違いしてるみたいだよ。僕は、本気で穂浪のこと好きだから。愛してるから。だから、アイラ?だっけそいつに、お前抱かせたとき、もう、狂いそうなくらい悔しかった。でも、僕…穂浪の他人の力で乱れる姿見て…興奮して、オナニーしたよ。でも、実際はアイラをボッコボッコにしてやりたいくらいムカついてて…、誘わなけりゃ良かったってあとから後悔してんだ。」
眉にしわを寄せて語る歩くんは、また新しい表情を見せた。
欠点なんて、ないと思ってた歩くんは、悔しいと言う感情を僕に見せた。
恐らく、こういった表情は、僕しか見てないと思う。
にしても…、
「誘った…って何に?」
疑問はそこだ、まず、僕がアイラくんに抱かれてしまったのは偶然ではなく必然的に仕込まれていたものみたいに聞こえるのだけれど…。
「んー、いやぁな、アイラが穂浪を抱いてみたいって言ってたから、抱かせてやっても良いぞって思って抱かせた。…だけど、僕、穂浪のこと奴隷としか思ってなかったから平気だと思ってたんだけど…。全然、自分の気持ちに気付いてなかったよ。」
そう言いながら、歩くんは僕の後頭部に手を回す。
「好きっていう、恋愛感情に。んで、自分の思いに気付いたら、今まで平気でセックスとかキスとかしてたけど、穂浪にとって、それは大切な人としたい行為なんだって思ったら、穂浪のこと無視することしか出来なかった。」
「なんでっ?普通に話しかけてくれてもっ」
「だって、毎回そうじゃん。話というかセックスとかの方が割と多めじゃん?だから、絶対近くに居たら、襲いそうだもん。気持ちに気付いたから、大切な人は大切な人にとって愛すべき野郎に抱かれるべきって考えてたけど、資料室に入って来たとき、僕とあいつを見たときの顔見て、絶対的な自信が湧いた。」