どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第5章 アイラくんの暴走
「ね?だから、気にしないでさ。」
歩くんは、そう切り上げた。
僕が、学校で何故一人なのか…別にいじめにあってるわけではない。
ただ、昔、いじめにあってて…人を信用できなくなったってだけの話。
…でも、人を信用できないって本来なら凄く貧しくて寂しくて悲しいことなんだよね。
分かってるけど、心の底から信用できる人なんて両親と…あと…歩くん…だけだ。
これは、誰にも言ってない僕だけの秘密。
「うん、そうだね。」
僕たちはまた、手をつないで学校に向かった。
一人で登校してたはずなのに、いつの間にかこんなに愛しいと思える人に出会えて…一緒に登校してる…。
こんなに嬉しいことはない。
「今度、また穂浪の家に遊びに行っていい?」
「良いよっ勿論。」
そんな日常的な会話をする中、忍び寄る陰に僕はまだ気付いていなかった。