どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第5章 アイラくんの暴走
「…であるから…」
今は、授業中で現代社会をしている。
歩くんは、僕の席の前の前の前で、僕の居る列の一番前だ。
歩くんを見たいけど、残念ながら他の生徒が居るから…見れない。
教室を見回すと、やっぱり不良のマサトくんとアイラくんの席は空っぽだった。
暇だ~
でも、日差しがほっこり。
大分寒くなってきたから。
キーンコーン…
「では、今日はここまで。習った所、ちゃんと復習しとけよ、次回小テストな。以上。」
そう言って、現代社会の先生は消えた。
「…穂浪…くん…だっけ…」
「ふぇ…?」
次の教科の準備をしていたら、不意に話し掛けられる。
「隼人くん…?」
僕に話しかけてきたのは、この前説明した、歩くんの金魚の糞の隼人くんだった。
「どうしたの?」
僕が聞くと、隼人くんはニッコリ笑って、
「先生が、放課後体育館倉庫から運び出したい物があるから、手伝って欲しいって。」
「あ、うん。ありがとう。」
「ううん、気にしないで。」
隼人くんは、またニッコリ笑って歩くんの方に消えた。
はぁ…
また先生から頼まれた…
多分、皆の中で、頼み事=断れない穂浪ってなってるのかな…
んー…、せっかく歩くんと下校できると思ったのに。
口を尖らせながら、また重い溜め息を吐く。
そんな僕を、誰かが熱っぽい目で見ていることは、知らない。