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どうして?僕が攻めじゃ不満なの?

第6章 白雪姫と、メイドさん

「あー…やっぱり似合わない…」

家に帰って、メイド服を着てみる。
膝より上の黒色のワンピースに白色のフリフリのエプロン…あと、何より気になるのは、何故猫耳と、白色のニーハイソックスなのかな?って話で…

「どうしよ…目が…腐る…」

コンタクトレンズをはめながらしてみたけど、自分の口から勝手にポロリとそんな言葉が出てくるくらい、酷い姿だった。

「…どーしよ…」

こんな姿、みんな見たら気持ち悪いって吐いちゃうよね…
歩くんも…
接客なんて、絶対無理じゃん。

「はぁー…厨房やらせて貰えないかなー」

僕はそんなことを呟きながらメイド服を脱ぎ始める。はぁー…歩くん…ガッカリさせるの嫌だな~…僕のメイド姿…楽しみにしてくれてたのに…

ポロリ…

悲しい涙が、頬を伝った。

「なんでこんなに地味なんだろう…僕っ…なんで…、可愛くないんだろうっ」

自分への文句を言い始めると、涙も口も止まらなくなって、自分が情けなさすぎて、また泣く。

「っ歩くんっ…ぅぅっ」

誰よりも愛しい人の名前。
誰よりも好きな人の名前。
誰よりも…誰よりも、今会いたいって思う人。

僕はソッと携帯を手にとって、大好きなあの人の番号を探す。


見つけたら、その番号で、発信する。


プルルルル…プルルルル…


「もしもし?」


「ぁっ…歩くぅんっ!!」


泣きながら、聞き取れてるかも分からないまま話す。


「ぼっく、厨房したいっ」


「ん?どした?」


「僕っ…メイド服っ似合わないんだっ」

携帯を握り締める手に力を入れる。


「着てみたの?」


「んっ…気持ち悪いよっ似合わないっ」

「ん~、似合わないって穂浪から見てでしょ?僕から見たら、凄く可愛いかもしれないじゃないか。」


歩くんの答えに、ホッと息をついて落ち着く。

そうだ、歩くんから見たらもしかしたらお姫様に見えるのかもしれない。
それくらい、可愛く見えるかもしれないんだよね?…ね?歩くん。


「可愛…い?」


「うん、穂浪は絶対メイド服可愛い。」

「似合う?」


「うん、凄く似合ってるよ。穂浪のメイド姿、思い浮かべるだけで欲情しそう。」


歩くんが耳元でクスッと笑う。
電話だから耳元で当たり前何だけど、なんか直接言われたような気分になる…。
歩くんは、そのまま電話を切った。

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