どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第6章 白雪姫と、メイドさん
~文化祭当日~
慌ただしい学校の中。
それぞれが役の配置や、メイド喫茶で出すメニューの確認。
劇は午前中に終わらせるらしくて、皆どんどん体育館に集まってくる。
一番忙しそうなのは委員長だった…やっぱり。
先生を見れば、いつものように鼻をほじりながら欠伸をしていた。…あんなのと、委員長は付き合ってるんだよね…。
かわいそ…。
「一番目の劇は三年のB組らしいから、俺らの使う小道具邪魔にならないようによけとけよ!!ちなみに、俺たちは二番目だから、一番目の劇が始まったらさっさと準備して配置に付いて!!」
委員長の、大きな気合いを入れるような声が耳の鼓膜を直接震わせる。
…どうしよう…
緊張してきたよ…
まだ衣装の着付けも終わってないのにガクガクと、ブルブルと身体が震えて止まらない。
「穂浪、寒い?」
歩くんが、着付けを終わらせた僕に上着をかける。
上着をかけてくれた歩くんを見ると、歩くんももうとっくに着付けを終わらせていて、…格好いい事に気が付いた。
歩くん…ちっさいのに…スッゴく大きく見えるよ!!
「歩くんっ失敗しそうっ」
「穂浪、大丈夫。劇の最中も、僕の事だけ考えてて?」
ステージの脇にあるパイプ椅子に、腰掛けてる僕の耳元で言う。
劇の最中も僕の事だけ考えてて…
ボワンっと顔や頭から湯気がでる。
当たり前じゃないかっ
僕は、いつだって…いつだって…
歩くんの事考えてるよー!!
歩くんから差し出された手をギュッと握る。
「穂浪、緊張解すために外出よっか。」
歩くんは、僕の手を引っ張って外に行く。
「穂浪?僕、君の姿に欲情しちゃいそう。なんでメイド服でもないのにドレスでこんなに可愛いの?」
歩くんに、いきなり壁に追いやられながら切なそうな顔で問いかけてくる歩くんを見る。
「キスさせて?」
歩くんは、僕の肩を握ると、真剣な顔をして言った。
僕は答える代わりに、目を閉じた。
「んッ…」
目を閉じると、すぐにやってきた歩くんの唇。
歩くんの唇も、緊張のせいか震えていて、舌は僕よりも熱かった。