どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第6章 白雪姫と、メイドさん
「穂浪、今、止めてって言った?」
歩くんは、首筋から唇を離して、代わりに僕の首に手のひらを巻き付ける。
首を絞められると思って目をギュッと閉じる。
「穂浪さ、自分でメイドさんになった時、意地悪とかエッチなことしてって言ったんだよ?」
「ゃ…それはっぐっ」
歩くんは首に巻き付けた手に力を入れていく。
気道が塞がっていく…
「穂浪はドMだもんね。さぁ、「僕をいじめてください」って言ってごらん?」
「はふっ…ひゅっ…」
苦しそうにもがく僕を愉しそうに見つめる歩くん。
笑顔のために細められた目が僕に向けられている…、歩くんが見てる…
首を絞められてるのに、そんなことを考える。
「息が出来ない?苦しい?手ぇ離して欲しい?」
「ん…ん…」
必死で首を縦に振る。
「じゃあ、くちぱくでも良いから「僕をいじめて」って言って?」
うっ…
完全に気道を塞がれた…
身体が酸素を求めてヒクヒクと動く。
そんな中で僕はくちぱくで
「ぼ・く・を・い・じ・め・て」
と言った。すると、手の力はすぐ抜けて、気道から酸素が入ってくる。
「穂浪?今の忘れないでね?模擬店先に行ってるから。」
はひゅはひゅっとまだ息をする度にいう。
歩くんって時々怖い。
でも、本気で振りきれない僕は馬鹿なんだろうな…
だって、歩くんのことが好きなんだもん…。
…馬鹿だ!!