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どうして?僕が攻めじゃ不満なの?

第7章 形勢逆転!!にはなりませんでした、普通に。

って言うか、「見ててあげるから」とか言われてもあんまり嬉しくないし安心しませんよ歩くん!


「んー…」


「ねぇ、穂浪いつまで考え込んでるつもり?」


歩くんはとっくに隣の席に戻ってて、課題を進めていた。

僕はうなり声をあげながら、真剣に本当に真剣に、シャーペンを鼻と口で挟みながら考えていた。

だって、セックスって愛があるから成り立ってるものじゃないの?
見ず知らずの女の人が、急に僕を誘ってもセックスする展開になることってあるのかな…無いだろうな。
しかも、歩くんが用意する女の人って僕から見たら全くの初対面だし、裸で誘って来ても僕は動揺しているだけだと思うんだ。
何よりも、歩くんは僕を好きだろう?…って自分で言うな!!…まぁ、好きだとしよう、そしたら僕が女の人を抱いているのを見るのは苦しくならないのかな?…寧ろ、セックスってそんなものなのかな?


「んー…」


カツカツ…

僕は悩みながらシャーペンをリズムよく机に打ち付ける。

そして、その手を休ませる事無く歩くんの方を向く。
歩くんは、課題に夢中なのか気付いてない。

僕は、歩くんの顔立ちの良い横顔を、眉を寄せながらンジーっと見る。


こういう時は、逆の立場に立って考えるんだ。

もし歩くんが女の人を僕の目の前で抱いたら?


…嫌だ。

当たり前だけど、絶対に嫌だ。

「僕が歩くんを好きなんだぞ!」って女の人に飛びかかりそう。


うぅ…、醜い嫉妬だね、完璧、うん。


シャーペンをカツカツするのが飽きた僕は、机に相合い傘を書く。

ハートを書いて、傘書いて…穂浪っ、歩くんっ、………


「ハァー…」


これは僕の溜め息。

何でこんなに乙女チックになってしまうのか頭をワシャワシャと掻き乱す。


「相合い傘だね。」

「ぅわ!!っ何!?何!?どうしたの!?」


髪の毛をグシャグシャにしていたら、いきなり耳元から呟いてくる歩くん。


課題に集中してるのかと思って油断してたら…、もぅ、本当に驚いた。


…ん?

……ん?


相合い傘…見られた?


ハッとなった僕は、歩くんの方をわざとらしい笑顔で見ながら、消しゴムを取って相合い傘を隠しながら、


「っだ…誰だろうねっ何でこんなこと書くんだろうねっ!!」

「穂浪以外無いよね。」


意地悪く笑われながら言われた。

…からかうなぁー

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