どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第7章 形勢逆転!!にはなりませんでした、普通に。
「んッ…ふはッ」
唇同士が離れて、透明な糸が引いて、歩くんはその糸をペロリと舐めて切った。
火照る身体に、ぼやける脳内。
脳内が溶けてしまいそうなくらい気持ちが良い。
そして、溶けてしまいそうな脳内の片隅で考えていたこと、それは、
「歩くっ…はぁ…はぁ…セフレって…なに?」
そう、これだ。
セフレってなんだ?
キョトンとした顔で歩くんを見上げる。
歩くんは苦笑しながら、
「うん、セフレはね、エッチするだけの友達。セックスフレンドの略でセフレね。」
「ほへ~…」
そんなのがあるんだ。
セックスするけど、それだけの関係。
友達でセックスするんだ。
歩くんには…セックスするためのフレンドが居たんだ…
なんか、悲しい。
なんか、泣けてきたよ、歩くん。
「でも、もうセフレとのやり取りは何年か前に止めた。今は、もう穂浪が居るからね。穂浪が、一番大好きだから。」
そう言って抱き締めてくれる歩くん。
ほっこりとして、不安が溶けた。
「あ、そーだ、穂浪、土曜日早めに来てね。」
歩くんは耳元で喋りかけてくる。
「?…なんで?」
僕は、歩くんとは反対側の歩くんの耳元で喋る。
「だって、穂浪のアナルにバイブ射れなきゃいけないでしょ?」
当然のように聞いてきたよ?
僕は嫌だけど…
「分かった。」
って返事をした。
僕はまだ知らない。
歩くんが、僕に本気で女の人を抱かせる気がないことを、歩くんが僕に抱かれると言うのは嘘だということを。
これは、歩くんが仕掛けた僕に対しての罰で、お仕置きであるということを。
僕は、少し寒気がして、身を震わせた。
歩くんの無邪気な笑顔の訳も気になるけど、聞くのが怖い。
何が起こるのか聞かされるのが怖い。
僕は、僕を抱き締めている歩くんの顔を盗み見る。そしたらやっぱり、意地悪で無邪気な笑顔があった。
はぁー…
僕は、何故こんなにも我が儘な人を好きになったのか…
でも、歩くんが大好きなのは、なんにしても変わらない。