
天空(そら)に咲く花~あのひとに届くまで~
第8章 哀しい別離
「それは、その言葉は、もう私たちがこれで終わりだということなのか? これが最後なのか? なあ、八重。応えてくれ。私たちは、これっきりなのか」
嘉亨の両手が八重の肩に置かれた。
「そなたはもう、私の顔を見るのも厭だと申すのか、八重」
嘉亨がいつになく烈しい感情を表に出している。八重がうつむくと、嘉亨は八重の肩に手を置いたまま、烈しくその身体を揺さぶった。
八重のか細い身体ががくがくと揺れる。それは、意思のない傀儡(くぐつ)人形が揺れるのにも似ていた。
「確かに清冶郞には辛い想いをさせたと思うておる。さりながら、そのことと我らには拘わりはなかろう。あれは不幸な出来事であった。清冶郞にきちんとした説明をしてやらなかったことは悔やまれるが、そなたとのことにけじめをつけ、きちんとした形にするのは清冶郞の身罷りしとはまた別の話」
「いいえ」
八重は、泣きながら嘉亨の手を振り払い、身を退(ひ)いた。
「若君さまは、私たちの犠牲になったのでございます。若君さまを無情にも最後の最後で絶望のどん底へ突き落とし、死に至らしめたのは私たちの罪。そんな私たちが同じ夢を見、同じ道を歩くことなど、許されるはずがないのです」
「では、そなたは清冶郞のために身を退くというのか?」
振り絞るような嘉亨の問いかけに、八重は小さく頷く。
「もう一度、言う。私のために屋敷に戻ってくれぬか」
彼の真摯な瞳が八重を射貫く。嘉亨は震える手で八重の両頬を挟んだ。
嘉亨の両手が八重の肩に置かれた。
「そなたはもう、私の顔を見るのも厭だと申すのか、八重」
嘉亨がいつになく烈しい感情を表に出している。八重がうつむくと、嘉亨は八重の肩に手を置いたまま、烈しくその身体を揺さぶった。
八重のか細い身体ががくがくと揺れる。それは、意思のない傀儡(くぐつ)人形が揺れるのにも似ていた。
「確かに清冶郞には辛い想いをさせたと思うておる。さりながら、そのことと我らには拘わりはなかろう。あれは不幸な出来事であった。清冶郞にきちんとした説明をしてやらなかったことは悔やまれるが、そなたとのことにけじめをつけ、きちんとした形にするのは清冶郞の身罷りしとはまた別の話」
「いいえ」
八重は、泣きながら嘉亨の手を振り払い、身を退(ひ)いた。
「若君さまは、私たちの犠牲になったのでございます。若君さまを無情にも最後の最後で絶望のどん底へ突き落とし、死に至らしめたのは私たちの罪。そんな私たちが同じ夢を見、同じ道を歩くことなど、許されるはずがないのです」
「では、そなたは清冶郞のために身を退くというのか?」
振り絞るような嘉亨の問いかけに、八重は小さく頷く。
「もう一度、言う。私のために屋敷に戻ってくれぬか」
彼の真摯な瞳が八重を射貫く。嘉亨は震える手で八重の両頬を挟んだ。
