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逃亡少女と逃亡悪人

第2章 監禁

そして私と姉は引き離された。
私は薄暗くて狭い部屋に一人残されたのだ。

(だめ、気を強くもたなくちゃ)

どうしてさらわれたのか。
どうやったらこの人たちは開放してくれるのか。
それともいつか殺されるのか。

心の中は不安と恐怖で凍りつきそうだった。
それでも正気でいられたのは一緒に捕まっている姉のおかげだ。

(お姉ちゃんは冷静だった。私も冷静にならなくちゃ)

震える身体は仕方なくても、心は強くもたなくちゃいけない。

あれから黒服の六人の集団はそれぞれ部屋を出て行った。
一人一人が名前を呼び合っていたため、誰がどれか整理してみることにした。

まず、一人目。黒スーツ眼鏡の堅物そうな男が『エース』。
何人かわからないが、日本人ではないだろう。

二人目。金髪に派手な外見の下品な言葉を話す男が『エックス』。
顔つきは北欧系だ。ちなみに姉を犯したと公言した男。

三人目。日本人で切れ長な目をした男が『ケイ』。
見ている限り始終冷静な説明口調であった。

四人目。屈強な黒人の男が『キュウ』。
カタコトの日本語で喋る所を見ると、日本に来てまだ日が浅いのだろう。

五人目。プラチナブロンドのさらさらロング。一見では優男が『アイ』。
この男、私の髪をつかみあげたり結構見た目と反して乱暴で冷酷なようだ。

そして最後に六人目。栗色の髪をつんつんと上にあげた男。
『ディー』と呼ばれていた。
ずっと仏頂面だったのを覚えている。私たちをめんどくさそうに見ていた。

整理してみると、男たちの名前が全て、アルファベットに関係していることがわかった。
コードネームかもしれない。

それよりもどうやって逃げるか・・・。
鎖は依然そのままである。

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