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逃亡少女と逃亡悪人

第2章 監禁

「いたっ」

顔から判断できないほどの強い力だった。
上品そうな口調とは裏腹な乱暴な仕草。

「ゆなっ!!妹には手を出さないで!!」

姉の悲痛な叫びが狭い部屋に響いた。

「おやおや、麗しい姉妹愛ですねえ。春子さん」

男の手は私の顎を掴んだ。
ぎりぎりと長い爪が私の肌に食い込む。

「アイ、顔に傷つけるな」

栗色の髪の男が鋭く一喝した。
それに従いアイと呼ばれた男は私から手を離した。

「・・・はぁ、はぁ」

恐怖と緊張で私の息は切れていた。
しかし頭の中は異様に働いている。

(どうしてお姉ちゃんの名前知っているの)

つまりこれは確信犯なのだ。
私たちが誰なのかを知った上でこの人たちはさらった。
理由や目的がなになのかは知らないが、とにかくここから逃げなくてはいけないことはよくわかった。

「ふむ、とりあえず姉の方を移動させよう」
「えっ」

眼鏡の男の言葉に唖然とした。

(そんなの、やだっ)

そう思い、身体をよじり精一杯暴れようとした。
しかし、できなかった。

栗色の髪の男の大きな手が私の肩を押さえつけたのだ。

「暴れたら犯す。嫌だったら大人しくしていろ」

私の顔は絶望に引きつった。

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