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逃亡少女と逃亡悪人

第4章 不安

憮然とした彼の態度は不思議と好ましいと思った。
彼は私がなつくと言ったが、私は別になついたわけではない。
彼を一人の人として扱っただけだ。
彼、ディーが私を人として扱ってくれたから。

「 ボスがあと二、三日で戻る」

ドアの前に立ち彼は私にそう告げた。
私を捕らえた彼らが時々口に出す、ボスという存在。
彼の目的はなんなのだろう。

「ボスという人が帰ってきたら、私と姉はどうなるのですか」
「……」

ディーは何も答えてくれなかった。
そのままドアからこの部屋を出ていき、私はまたこの部屋に一人になった。

「はぁぁぁ」

特大級のため息を吐き出してブラケットで作った寝床にごろんと横に転がった。
寝心地は最悪だ。

(脱走、失敗しちゃったな)

いや、元から脱走なんて無理だったのか。
もう外には出られないのか。

(私どうなるんだろう)

怖くて不安で…。
私は一人こっそりと一筋の涙を流した。





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