
逃亡少女と逃亡悪人
第4章 不安
しっかりと食事をとった後、トレーを下げるためにまた黒服の男たちのうちの一人が私の部屋を訪れた。
「これからお前の身体の鎖も外すが、もし何かしでかしたら命はないと思うこと」
切れ長の瞳がじっと私を睨んだ。
彼は黒服六人集団の中で唯一の純粋な日本人らしき人、ケイだ。
「私は自由を与えるのを反対したが、ボスの命令だ。仕方がない」
そう言って彼はさらに強く私をその目で威圧した。
その瞳の中にある光は、明らかなる敵意だった。
(この人、私のことすごく嫌いなんだ)
わかりやすい嫌悪感を露わにしている。
しかし、この男に嫌われる理由など見当もつかない。
とにかく今は鎖が外されるという好機に私の心は浮き足立った。
うまくいけば脱出の道が拓かれるかもしれない。
「自由と言えど、この屋敷から抜け出ることは不可能だと思え」
「・・・」
きっぱりとした口調に図星をつかれた心臓は鷲掴みにされそうになった。
「この部屋に立ち入ることを許されるのは幹部六人とはいえ、我ら以外にこの施設には数十人の男が配置されている」
耳から入ってきた情報に愕然とした。
そんなにこの集団が大きな勢力だとは思っていなかったのだ。
ありえない、と思った。
だが同時に彼が嘘をつくような人物とも思えなかった。
「お前の行動範囲は、この部屋とここから通じる隣室のみ。わかったな?」
素直にこくんと頷く。
幹部といった男たちが出入りするドアと反対の方に同じようなドアがついている。
どうやらそこから隣室は行けるらしい。
「ふっ、せいぜい鎖の解けたかりそめの自由を楽しむがいい」
ケイは拘束のとれた私を上から見下ろし鼻で笑うと、かつかつと高そうな革靴を鳴らしながらこの部屋を出て行った。
残された私はのろのろと立ち上がり、伸びるとこまで伸びをした。
「これからお前の身体の鎖も外すが、もし何かしでかしたら命はないと思うこと」
切れ長の瞳がじっと私を睨んだ。
彼は黒服六人集団の中で唯一の純粋な日本人らしき人、ケイだ。
「私は自由を与えるのを反対したが、ボスの命令だ。仕方がない」
そう言って彼はさらに強く私をその目で威圧した。
その瞳の中にある光は、明らかなる敵意だった。
(この人、私のことすごく嫌いなんだ)
わかりやすい嫌悪感を露わにしている。
しかし、この男に嫌われる理由など見当もつかない。
とにかく今は鎖が外されるという好機に私の心は浮き足立った。
うまくいけば脱出の道が拓かれるかもしれない。
「自由と言えど、この屋敷から抜け出ることは不可能だと思え」
「・・・」
きっぱりとした口調に図星をつかれた心臓は鷲掴みにされそうになった。
「この部屋に立ち入ることを許されるのは幹部六人とはいえ、我ら以外にこの施設には数十人の男が配置されている」
耳から入ってきた情報に愕然とした。
そんなにこの集団が大きな勢力だとは思っていなかったのだ。
ありえない、と思った。
だが同時に彼が嘘をつくような人物とも思えなかった。
「お前の行動範囲は、この部屋とここから通じる隣室のみ。わかったな?」
素直にこくんと頷く。
幹部といった男たちが出入りするドアと反対の方に同じようなドアがついている。
どうやらそこから隣室は行けるらしい。
「ふっ、せいぜい鎖の解けたかりそめの自由を楽しむがいい」
ケイは拘束のとれた私を上から見下ろし鼻で笑うと、かつかつと高そうな革靴を鳴らしながらこの部屋を出て行った。
残された私はのろのろと立ち上がり、伸びるとこまで伸びをした。
