続・捨て犬
第7章 怒ったり…しねぇよ?
パン屋は
もう閉店していて
看板に灯りはついていない
ほんとに
ココに居るのかな・・・
俺は
静かに
ゆっくりと
入口のドアを開けた
すると
暗い店内の奥から
エミが駆け寄ってきた
「カズマ・・・ごめんね?」
「いいけどさ、どうしたんだ?
エミ一人か?」
ちょっと暗くて
エミの顔は
よく見えなかったけど
声に元気がない
なんだかエミが
かわいそうになって
俺はエミの肩に手をまわし
抱き寄せようとしたら
奥から
大きな声が聞こえた
「あ~・・・
間に合わなかったわね~」
あっぶね
ぎゅ~っとか
しちゃうとこだった
「でもエミちゃん
大丈夫よぉ
カズマくんはそんなこと
気にしない人だから
怒ったりしないわよ
さ、元気だしなさいっ」
そう言いながら
奥から萩原のおばさんが現れ
ポンッっと
エミの肩を叩いた
すると
小さなエミは
顔色を伺うように
俺を見上げた
もちろん
萩原のおばさんも
俺を見つめている
な、なんだよ
さ、わかってるってば
え~っと・・
「怒ったり・・・しねぇよ?」
「ほらねぇ~?
さ、そろそろできるわよ!
2人とも、こっち来なさい」