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続・捨て犬

第7章 怒ったり…しねぇよ?


おばさんの後について
厨房に近づくと
俺達は
香ばしい匂いに包まれ
パンが焼けるんだなって
すぐに分かった

「さ~できたわよ~~」

そう言いながら
おばさんは
手際よく焼きたてのパンを
でっかいオーブンから取り出すと

「うっわ、すっげうまそ・・
ギュルルル・・あっ・」

俺の腹が豪快に音を立てた

「あははは(笑)
エミちゃん
大事な恋人は
腹ぺこみたいよぉ~(笑)」

さっきまで
元気のなかったエミが
ニコニコと笑っていて

和む。


焼きたてのパンは
チョコがアレンジされた
甘そうなパン


おばさんは
いそいそと
手を動かしながら
どうして
今、パンを焼いているのか
エミの代わりに説明をはじめた


エミは
バレンタインの今日
バイトが終わると
あまり甘いものが
好きじゃない俺に
クッキーを
焼くつもりだったらしい

でも
バイトに来てみると
いつもと違うチョコパンが
店先に並んでいた

パンが好きな俺は
チョコパンなら
食べるかもしれないと
どうしても
そのチョコパンを
プレゼントしたくなったらしい

売れ残って欲しいと思いながら
バイトをしていたけど
あっという間に完売。

言えなかったんだろうな
私が買いたいなんて。

そこで
やっと萩原のおばさんに
作り方を教えてほしいと
言ったらしいんだ

パン作りは
かなり時間がかかる

らしい

で、じゃあ
ここで焼きなさい
ってことになって

今焼けた

って訳だ

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