続・捨て犬
第10章 がんばりたい
その週末
食事を終えて
台所の片付けが終わると
エミが
ハンドクリームを持って
俺の前に座った
座っただけで
何も言わない
エミ
「カズマ・・塗って?」
そう
心の中で
言ってるんだと思う
心の中で
つぶやいた言葉は
勝手に音になって
身体の外に出て
それが声になって
俺に伝わってると
思っているんだろうか・・・
「いいよ」
クリームの蓋をあけて
自分の手に
たっぷりとクリームをのせ
俺の手が真っ白になるほど
手のひらに
クリームをのばす
そして
「右手から」
って声をかけると
エミは
少し笑顔で
俺に右手を預けた
両手で
エミの右手を包みこみ
クリームをすり込むように
何度も何度も
右手を両手でさすると
じっと
黙ったまま
その手を見ていたエミが
気持ちよさそうに
目を閉じた
あぁ・・
愛おしい
心の底から想う
「左手もやってやるから
終わったら
キスしていいか?」
エミは目を閉じたまま
小さく頷く
「うん」
って、たった二文字の言葉すら
・・・聞けない
そんなエミを見て
俺は
ゆっくり
話をしようと思った
明日は休みだ
朝までかかってもいい
エミが
元気がなくなってしまった
あの話を・・・
俺が
ずっと避けていた
あの話を。
食事を終えて
台所の片付けが終わると
エミが
ハンドクリームを持って
俺の前に座った
座っただけで
何も言わない
エミ
「カズマ・・塗って?」
そう
心の中で
言ってるんだと思う
心の中で
つぶやいた言葉は
勝手に音になって
身体の外に出て
それが声になって
俺に伝わってると
思っているんだろうか・・・
「いいよ」
クリームの蓋をあけて
自分の手に
たっぷりとクリームをのせ
俺の手が真っ白になるほど
手のひらに
クリームをのばす
そして
「右手から」
って声をかけると
エミは
少し笑顔で
俺に右手を預けた
両手で
エミの右手を包みこみ
クリームをすり込むように
何度も何度も
右手を両手でさすると
じっと
黙ったまま
その手を見ていたエミが
気持ちよさそうに
目を閉じた
あぁ・・
愛おしい
心の底から想う
「左手もやってやるから
終わったら
キスしていいか?」
エミは目を閉じたまま
小さく頷く
「うん」
って、たった二文字の言葉すら
・・・聞けない
そんなエミを見て
俺は
ゆっくり
話をしようと思った
明日は休みだ
朝までかかってもいい
エミが
元気がなくなってしまった
あの話を・・・
俺が
ずっと避けていた
あの話を。