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続・捨て犬

第12章 違うと思う


そう言って
手を引くと
エミは
俺に背を向けて
胸の中に
すっぽりと収まった


「今日のことは
エミが正解だなぁ」


そう言いながら
エミの髪のにおいを嗅いで
俺は
目を閉じて
エミの髪に頬をすりよせた


「カズマ・・・」


「ん?」



「どうして

あんなこと・・」




「ん~・・・(苦笑)

エミが
好きだから」




「え?」




「エミが
大事で大切で
大好きで
かわいくって
たまんねーから

あんなこと言った


かっこ悪いけど」




エミは
少しうつむいて

照れてるみたいだった





「エミが
レジんとこに居るのは
人に慣れるためで

できれば
お客さんと
話せるようになって

そんで
目を合わせて
笑顔で接客できるようになって


由香ちゃんみたいに
なるためだったのにな


何言ってんだろうな、俺」




可愛い子には
旅をさせろ・・・か


エミに
偉そうなこと言っといて
俺こそ
まだまだ
親になる資格なんて
なさそうだ

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