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続・捨て犬

第13章 なぁ、どっちだよ


「カズマ」


店先のケーキが
残り数個になったころ
エミが
熱いコーヒーを
俺に届けてくれた


「ありがと、エミ」



「おばさんが・・」



「ん?」




「なくなるまで
外でって」




「そうか」



ケーキがなくなるまで
俺と外で一緒に
ケーキを売ってなさいって
言ったんだな?


(笑)


そんなお前が
好きだよ



「カズマ・・」



「ん?」



「これ・・」



エミは
さっきもらった
プレゼントの包みを
ポケットから出して
俺に見せた



「よかったな」


エミは
なんだか
すごく照れた顔をした



「中、見たのか?」



「・・まだ」



「開けてみろよ」



エミは

開けちゃダメって
言われてた子供が
もう
開けていいよって
言われた時みたいに
期待に胸ふくらますような
笑顔を見せた



なんだよ



ちょっと

妬けるなぁ(苦笑)




「かわいい・・・」


袋の中には
綺麗な色の
ビーズで作られた
ストラップが
入っていた


「おぉ・・きれいだな」



「うんっ」



そう言って口角を上げ
エミは
俺を見て笑った

そのエミの瞳には
笑ってんのに
いっぱいの涙

嬉しかったんだな、エミ。


そしてエミは
ストラップに
目線を落とした。


多分


涙を流してるんだと思う。



どうして
エミが泣いてるのか

なんとなくは
分かったけど


ほんとうのことは
分からなかった。



エミにしか
分からない

エミにしか
味わえない

感情。



サンタの俺は
涙を流すエミの肩を
そっと抱き寄せ

人通りの少ない
商店街で

俺たちは
ただ
黙ったまま

そうしていた。

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