続・捨て犬
第14章 あたり
アパートに帰ると
階段の足音を聞いた
エミが
鍵を開けるまえに
ドアを開けてくれた
大丈夫?
そんな顔をして
俺を見上げるエミ
「大丈夫だよ」
そう言って
肩を抱きながら
部屋に入り
なんだか
大きなため息をつきながら
俺は
ベットに腰を下ろした
「風呂、入ったか?」
エミの髪が
濡れていた
「うん」
「今日も遅くまで
悪かったな
もう
寝ていいぞ?
疲れたろ?」
俺は
煙草に火をつけた
「・・・・うん・・」
なんだか
頭の中が
いろんなことで
いっぱいで・・・
その
ひとつひとつを
煙と一緒に
吐きだしたい
気分だった
「遅かったね」
「ん?
あぁ・・・
桜、見てた」
「桜?」
「あぁ。
公園の桜
綺麗だった」
「・・・・・」