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続・捨て犬

第14章 あたり

・・・ん?




煙草が
吸い終わるまで

俺の気持ちが
どこかに
飛んでいた



えっと・・




どこまで
話したかな・・



桜?



そうだ

桜の話だ




ふと
我に返ると

エミは
俺の隣に
ちょこんと
座ったまま


ただ
黙ったまま



俺を見ていた






「風邪・・」




「?」




「髪、乾かさねーと

風邪・・・ひく・・」




風邪ひいたら
大変だろ?

お前は
すぐに熱出すんだから


熱が出たら

大変だろ?



病院



簡単には
行けないんだから





だから




だから・・・









エミ・・・









だめじゃないか・・・











髪を乾かせと

言ったのに





俺は

それから

エミを抱きしめて




エミが

俺の名前を呼んでも



抱きしめた手を

ほどかなかった











エミに

見られたく

なかったから







心配させたく

なかったから








泣いてるなんて



知られたく

なかったから

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