続・捨て犬
第15章 早く大人になって
次の朝
俺とエミは
いつものように
手をつないで
商店街を歩いた
いつもより
俺の足取りは軽い
「カズマ、楽しそう」
隣で俺を見上げるエミが
そんなことを言った
「ん〜?そうか?」
「うん」
なんだろな
顔がニヤける感じなんだよ
パン屋に
萩原がいるかも
しんねーから。
パン屋が見えて
萩原のおばちゃんが
店の前の掃除をしているのが
見えると
エミは
いつものように
俺から手をはなして
おばちゃんのところに
駆けていった
「エミちゃん、おはよ〜
今日もよろしくね!」
エミを見つけた
おばちゃんに
声をかけられると
エミは
ニコニコと笑って
「はい」
って返事をした
そんな2人を見ていると
俺の頬がゆるむのが
分かった
「おはようございます
おばさん」
「カズマくん、おはよう」
「なんか、おばさん
機嫌よくないですか?」
「あら、やだ、そう?
うふふ(笑)」
おばさんは
隠しきれないのか
俺に笑顔を見せた
「萩原、パン焼いたらしいじゃないですか」
「そうなのよ〜
カズマくん、あのね…」
「うぃ〜っ!!」
おばさんが
俺に何か話そうとすると
店から萩原が顔を出した
「嘘だろおいっ
こんな朝から
お前、店来てんのかよっ!」
「何を言ってるんだい
カズマくん
僕は、元々早起きなんだ
失礼なことを言わないでくれるかい?」