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続・捨て犬

第19章 最終章③・・・本性


ガーレージの中に
車が収まると
一人の男性が車から降り
立派な門扉へと
歩いてきた。


その男は
俺の想像していた
エミの父親像とは全く違い
立派なスーツに身を包み
とても紳士的な風貌だった。


その時

「あ、こんばんは月島さん」

近所の女性なのか
エミの親父と思われる人に
声をかけた。

「あぁーどうも、こんばんは
回覧板ですか?」

「えぇ、そうなんです。
これ、よろしくお願いします」

「はい、わかりました。
わざわざすみません。
私が居ない時は
ポストに入れて置いて下さって
構いませんからね」

「はい、わかってますよ。
でもね、ちょうど車が
目に入ったから…」

二人は
とても穏やかに
世間話を始めた。


月島


間違いない。

エミの保険証の
名前と住所だ。


本当に
あいつがエミの親父なのか?


言葉には出さないが
おばさんも萩原も
同じことを考えてるに
違いなかった。


「おいカズマ
間違いないんだろうな?」


「あぁ…多分。
名前も住所も間違いない。

保険証に書かれてあった
父親の勤務先は
確かに立派な会社だったけど
現場で働いてるようなヤツかと
思ってたんだ。

ほんとにアイツが…」





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