続・捨て犬
第19章 最終章③・・・本性
そこで俺は
胸いっぱいに酸素を吸い込み
落ち着いて
ゆっくりと
その男に話しかけた
「あの…
娘さんはご在宅でしょうか。
僕、エ…あ、いや
幸音(ユキネ)さんの
友人なんですけど」
エミの本名『幸音』という
言葉を聞くと
その男は
一瞬真顔になり
それから眉間にシワをよせて
俺を睨みつけた
「こちらに
いらっしゃいませんか?」
「幸音に何の用だ」
間違いない。
こいつが
エミの父親か!
一瞬
俺の顔が熱くなったが
必死で心を落ち着かせ
俺は
嘘をついた
「幸音さんに
先日ばったり会って
お茶を飲んだんですけど
その時に幸音さんが
忘れ物をして……」
「あ……
あ、あぁ、そうですか。
で…
どちらで幸音に?」
そこで背後から
おばさんの
ものすごく小さな声が聞こえた
「カズマくん…」
分かってる
分かってるよおばさん
この親
ただもんじゃねぇ
俺の話を聞いた
エミの親父は
突然態度を変え
近所の人と話をしていた時のように
穏やかな表情に
笑みまで浮かべて
エミの行方を伺うような
素ぶりを見せたからだ。
その時だった
バタンっ!
ダッ、ダッ、ダッ…
誰かが
豪邸の何処かから飛び出し
急いで走る足音が聞こえた
胸いっぱいに酸素を吸い込み
落ち着いて
ゆっくりと
その男に話しかけた
「あの…
娘さんはご在宅でしょうか。
僕、エ…あ、いや
幸音(ユキネ)さんの
友人なんですけど」
エミの本名『幸音』という
言葉を聞くと
その男は
一瞬真顔になり
それから眉間にシワをよせて
俺を睨みつけた
「こちらに
いらっしゃいませんか?」
「幸音に何の用だ」
間違いない。
こいつが
エミの父親か!
一瞬
俺の顔が熱くなったが
必死で心を落ち着かせ
俺は
嘘をついた
「幸音さんに
先日ばったり会って
お茶を飲んだんですけど
その時に幸音さんが
忘れ物をして……」
「あ……
あ、あぁ、そうですか。
で…
どちらで幸音に?」
そこで背後から
おばさんの
ものすごく小さな声が聞こえた
「カズマくん…」
分かってる
分かってるよおばさん
この親
ただもんじゃねぇ
俺の話を聞いた
エミの親父は
突然態度を変え
近所の人と話をしていた時のように
穏やかな表情に
笑みまで浮かべて
エミの行方を伺うような
素ぶりを見せたからだ。
その時だった
バタンっ!
ダッ、ダッ、ダッ…
誰かが
豪邸の何処かから飛び出し
急いで走る足音が聞こえた