続・捨て犬
第21章 最終章⑤・・・完結
ん?
エミを先に?
そう思いながらも
俺は言われた通り
エミの背中に手をやり
「先に入れよ」
って声をかけた。
「…?」
不思議そうに
エミが俺を見上げたから
俺はエミをドアの方に振り向かせて
エミの背中に胸をつけた。
エミを先頭に
まるで電車ごっこだ。
それを見たおばさんは
満足そうに小さく頷くと
勢いよく
カフェのドアを開けた。
『パーンパンパーン!
パンパンパーン!!!』
店の中から
クラッカーの音が鳴り響き
ちょっと焼け焦げた香りが
鼻に付くと
エミが
身体をビクつかせて後退った。
大丈夫かな…
ちょっとしたことでも
ビビるエミが
俺は心配になって
咄嗟に
エミを抱きしめそうになった
その時
「エミちゃん!
おめでとーーーー!!
さ、中に入って!」
そんなことは御構いなしの
由香ちゃんがエミに駆け寄り
驚いて固まってる
エミの手を握った。
…いつもありがとうな
由香ちゃん
クラッカーに
戸惑ったのか
由香ちゃんに
戸惑ったのか
エミが
不安そうな顔で
俺を見上げた。
いいんだよエミ
なんも
気にすることはねぇ
もう決めたじゃないか
そう心で思いながら
「甘えようぜ?」
って笑って見せると
エミは
ホッとしたような
笑顔を見せ
そしてやっと
由香ちゃんと一緒に
店の中に入っていった