続・捨て犬
第21章 最終章⑤・・・完結
促されるまま
おばさんと店に入ると
丁度その時
おじさんが
厨房から出て来た
「いやー間に合って良かった!
でっかいの
作ってやったぞーエミちゃん」
突然
エミと俺の前に現れた
おじさんが手にしているものは
苺がいっっっぱい飾ってある
大きな
ケーキだった
そして
そのケーキには
『エミちゃん二十才おめでとう!』
と、書かれてあった。
「……」
言葉にならない…
エミだけじゃねぇ
俺だって
なんて言っていいか…
「おめでとう!エミちゃん!」
その場に立ち尽くしたままの
俺達に
声をかけてくれたのは
凛さんだった。
「エミちゃん
20歳になったんだってね!
ほんと、おめでとう!
ほんとーーにっ…
おめっ…でと…
やっと…っ…
20歳になれてっ…」
凛さんは
弁護士から色々話を聞いたのだろう
そして
俺達が20歳になるのを
どんな思いで
待ちわびていたのか
知ってるんだろう
最後は
もう涙で言葉にならず
俺は
もらい泣きをしてしまった
次第に
そのもらい泣きは
そこにいた全員に伝染し
あっという間に
カフェは
すすり泣く声に
包まれてしまった
皆んな泣いていて
萩原まで
目頭を抑えていて…
おじさんまで
鼻をすすって…
けどそれは
笑ってなんかいなくても
とっても
あったかくて
とっても
幸せな空間だった