テキストサイズ

続・捨て犬

第4章 おいで、してやるから。

エミに
詳しい話を聞いてみると

どうやら
エミの前に働いていた子が
赤ちゃんを産んだらしい

赤ちゃんを抱いて
パン屋に遊びに来た時に
休憩室で
授乳を初めて見たそうだ


どうやら
それと俺が
重なったらしい
(笑)
すげぇ、思考回路。


あんな小さな赤ちゃんを
間近で見たのは
初めてだと言っていた


「赤ちゃん、かわいかったか?」


「………」


「ん?可愛くなかったのか?
猿みたいだったか?」


「……かわいいよ
かわいいけど…
壊れそうだった……」


「え?」


「赤ちゃん……なにも
自分でできないの…
守ってあげないと
壊れそう
何でもしてあげないと…
死んじゃう…」


「そうか……。」


お前と同じだな。


お前は、赤ちゃんみたいだった。


しゃべらねぇし
笑わねぇし。


けど
泣くことは出来たんだよな…

そこまで赤ちゃんと同じだ。


だから

お前が壊れそうで
心配で…

たまんなかったんだな……


もちろん
今でも
心配でたまらねぇよ?


エミは
まだ時々
怖い夢で
うなされるから。


一生……治らないかもしれねぇな


「エミ?…
俺がいるから
大丈夫だからな?」


「え?」


「いや、何でもねぇ
いいんだ
エミ?
俺が甘えたいって言ったのは
エミに、かまって欲しいってゆーか…
もっと…俺を見て欲しいってゆーか…
その…イチャイチャしたいとか…
上手く言えねぇけど
赤ちゃんとは…ちょっと違うんだよ(苦笑)」


「…うん…」


「ま、まぁ、赤ちゃんみたいに
世話やいてくれんのは
うれしいんだけどさ
俺は…
どっちかってゆーと
エミに
赤ちゃんみたいに
甘えられる方が
いいみたいだ」


不思議そうな顔をするエミに
軽いキスをして
俺は
エミの手を握りしめた


ん?


エミ?

これ…なんだよ?!


ストーリーメニュー

TOPTOPへ