魔境夢想華
第4章 魔物《凜視点》
結局断り切れなかった俺は、岸谷先輩に促される形で校内に戻る羽目になってしまった。
まだズキズキと訴える頭痛を抱えたまま、岸谷先輩の肩に掴まりながら、岸谷先輩に従うしかなかった。
階段を登り、二階の一室に足が止まり、岸谷先輩はシャツの胸ポケットから小さな鍵を出し、すぐに鍵穴に差し込み、ドアを開ける。
「……生徒会室……?」
痛む頭を何とかゆっくり上へ向ければ『生徒会室』と表記されたプレートがあり、そういえば先輩が生徒会長だったことを思い出す。
「さ、入って」
俺の肩を軽く押し、中に入るよう誘導するが、俺は素直に入れずにいた。何故なら俺は生徒会のメンバーではないからだ。
そんな躊躇した俺の気持ちを読み取ったのか、先輩は安心させるような微笑を湛える。
「大丈夫だよ。今日は生徒会活動はなくて誰もいないから、君も気を使うことなく休めるよ」
また断る理由を遮断させ、先輩のさり気ない誘導に従うしかない俺は、仕方なく中に入るしかなかった。
中に入ると同時に先輩が俺を支えたまま、後ろ手でドアを閉める。ピシャ、と閉まった音の後に微かにだがガチャリと別の音も紛れたのを耳が拾った。一瞬、内鍵を掛けたのかと確認を取ろうと振り向こうとしたがそれは適わなかった。何故なら先輩がすぐに俺を引き連れたまま、奥へと歩き出してしまったからだ。
「せ、先輩……?」
一種の不安が俺の中に芽生え、つい先輩に声を掛けてしまう。
だが先輩は相変わらず微笑を湛えたままだ。
生徒会室には奥にも部屋があり、先輩は真直ぐそちらの部屋にと向かっていく。そこも鍵がかかっており、先輩はその部屋用の鍵も取り出すと即座に開け、更に奥へと入っていく。
「ほら、あそこなら落ち着くと思うよ」
先輩が顔で促した場所、そこにはクリーム色した横長のソファがひっそりと配置してあった。古ぼけたそれから、多分校長室からの使い回しのものだろう。
ソファに辿り着くとやっと俺を解放し、そのままソファにと座らせるよう俺の両肩を軽く押していく。
意外と強引な先輩に何も言えず、俺は諦めたように小さな溜息と共に身を沈ませた。
まだズキズキと訴える頭痛を抱えたまま、岸谷先輩の肩に掴まりながら、岸谷先輩に従うしかなかった。
階段を登り、二階の一室に足が止まり、岸谷先輩はシャツの胸ポケットから小さな鍵を出し、すぐに鍵穴に差し込み、ドアを開ける。
「……生徒会室……?」
痛む頭を何とかゆっくり上へ向ければ『生徒会室』と表記されたプレートがあり、そういえば先輩が生徒会長だったことを思い出す。
「さ、入って」
俺の肩を軽く押し、中に入るよう誘導するが、俺は素直に入れずにいた。何故なら俺は生徒会のメンバーではないからだ。
そんな躊躇した俺の気持ちを読み取ったのか、先輩は安心させるような微笑を湛える。
「大丈夫だよ。今日は生徒会活動はなくて誰もいないから、君も気を使うことなく休めるよ」
また断る理由を遮断させ、先輩のさり気ない誘導に従うしかない俺は、仕方なく中に入るしかなかった。
中に入ると同時に先輩が俺を支えたまま、後ろ手でドアを閉める。ピシャ、と閉まった音の後に微かにだがガチャリと別の音も紛れたのを耳が拾った。一瞬、内鍵を掛けたのかと確認を取ろうと振り向こうとしたがそれは適わなかった。何故なら先輩がすぐに俺を引き連れたまま、奥へと歩き出してしまったからだ。
「せ、先輩……?」
一種の不安が俺の中に芽生え、つい先輩に声を掛けてしまう。
だが先輩は相変わらず微笑を湛えたままだ。
生徒会室には奥にも部屋があり、先輩は真直ぐそちらの部屋にと向かっていく。そこも鍵がかかっており、先輩はその部屋用の鍵も取り出すと即座に開け、更に奥へと入っていく。
「ほら、あそこなら落ち着くと思うよ」
先輩が顔で促した場所、そこにはクリーム色した横長のソファがひっそりと配置してあった。古ぼけたそれから、多分校長室からの使い回しのものだろう。
ソファに辿り着くとやっと俺を解放し、そのままソファにと座らせるよう俺の両肩を軽く押していく。
意外と強引な先輩に何も言えず、俺は諦めたように小さな溜息と共に身を沈ませた。