
魔境夢想華
第4章 魔物《凜視点》
目の前にいるこいつは一体誰?
朝、トイレで知り合ったばかりだが、それでも俺の知っている岸谷先輩は穏やかで他人の心配をしてくれる、同性から見ても魅力的な生徒会長だった。
しかしそれは人間を油断させる為の仮の姿だったというのか? 人間に化け、そして人間社会に溶け込み、こいつの言うように人間の“気”を吸い続ける寄生虫のような存在なのか?
だとしたら本物の先輩はどうなったんだ?
俺の知っている先輩の顔ではない。いや、人間そのものではない異形の姿。口は耳近くまで持ち上げられ、顔色は既に青白くなり、瞳は不気味な藍色を放っていた。
「先輩は……どうしたんだ……?」
恐怖心と隣り合わせの中、俺は声を振り絞って疑問を投げ掛けた。
『先輩……? ああ、俺様が憑りついているこの人間のことか』
そいつ――“魔物”がなんだと言いたげに興味なさそうな反応で返してきた。
『ちぃとばかし、“内なる世界”に引き込んでもらっているだけだ』
「内なる世界……?」
意味の判らない奴の返答に、俺は眉間を寄せて聞き返してしまう。
『くくくっ、この人間が気になるか? だが心配するな。すぐにお前もこ奴と同じ場所に行けるさ』
何事もないとばかりの言い草に、俺はますます顔を顰める。
朝、トイレで知り合ったばかりだが、それでも俺の知っている岸谷先輩は穏やかで他人の心配をしてくれる、同性から見ても魅力的な生徒会長だった。
しかしそれは人間を油断させる為の仮の姿だったというのか? 人間に化け、そして人間社会に溶け込み、こいつの言うように人間の“気”を吸い続ける寄生虫のような存在なのか?
だとしたら本物の先輩はどうなったんだ?
俺の知っている先輩の顔ではない。いや、人間そのものではない異形の姿。口は耳近くまで持ち上げられ、顔色は既に青白くなり、瞳は不気味な藍色を放っていた。
「先輩は……どうしたんだ……?」
恐怖心と隣り合わせの中、俺は声を振り絞って疑問を投げ掛けた。
『先輩……? ああ、俺様が憑りついているこの人間のことか』
そいつ――“魔物”がなんだと言いたげに興味なさそうな反応で返してきた。
『ちぃとばかし、“内なる世界”に引き込んでもらっているだけだ』
「内なる世界……?」
意味の判らない奴の返答に、俺は眉間を寄せて聞き返してしまう。
『くくくっ、この人間が気になるか? だが心配するな。すぐにお前もこ奴と同じ場所に行けるさ』
何事もないとばかりの言い草に、俺はますます顔を顰める。
