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愛憎

第38章 煙

ようやくあなたは
天国へ
あたしは
自由になった

ゴウゴウと上がる煙を見上げ

憎しみや
悲しみに

終止符が
うたれていく


ぽっかり
風穴があいた
あたしの胸は…ビュウビュウと
冬の冷たい風が突き抜ける


泣きたいの
喚きたいの

あたしを捨てた
あの人の為に
路頭に迷い
涙したあの日が甦る

傷は癒えない
傷はずっと癒えない

あの空高く
舞い上がる煙は

どこまでも流れ

脳裏を回想に導いていく…

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