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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

「ねー小人さん。ココどこ?」
 歩睦は、仕切り直しのつもりで質問する。

{ココは〈それ〉の中だよ}
 小人は歩睦の首から提げている石を指差す。

「これ!?」
 ペンダントを持つと、さっきの様な暖かさはなく、無機質な感じがした。

{そう!それは『土の精霊石』君たちは『護りの石』と呼んでいるね}

{その石は…コチラとアチラがつながっていた時の門の一部…『大地の精霊核』の力を強く集めた石…}

{そして、僕たちは『大地の精霊核』の御許(おもと)の民ノーム}

「ノーム…ゲームとかで土系の精霊の名称だよね?」

{そうだね、歩睦にはその方が分かりやすいかもね}
 少し苦笑する小人。

{そして、ノームの一族の者は、その石の力と、その力を受け止め…っ……て!こちら側に来れるんだ}
 言葉を選びながら、小人は説明する。

「じゃ、小人さん!僕らはこのペンダントの中にいる…じゃ、今ぁ僕が触っているペンダントに僕が居る?ん、どういう事?」
 歩睦の頭の中が混乱してきた。

{歩睦。落ち着いて!今身に着けている物は歩睦の意識が記憶している姿であって、実体じゃない。実体は…}
 白い空間に大型モニターが現れる。

「あ、楓先輩と実と僕?」

 モニターに移っているのは、楓先輩が実と意識がなくなった僕を抱きかかえていた。

{あれが、歩睦の実体だよ}

「僕は…死んだの?」

{死んでないよ!精神だけ僕と接触している}

「精神だけ…じゃ、小人さん。どうしたらあそこに帰れる?」

{帰る?帰ってどうするの?}

「実を守りながら、体育館から出る」

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