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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

 ワーワーと体育館から人が騒ぎながら出てくる。

 景は、その光景を少し離れた場所から確認した。

「中で何かあったの!」
 慌てて、体育館に戻る為に走る。



「あ、あの!中で何かあったんですか?」
 景は慌てて出てきた人に声をかける。

「選手がッ!化け物に襲われている!!」
 その人はそういて逃げていった。

(歩睦!)
 一瞬息子の顔が浮かぶ。

「すみません、入ります!」
 景が体育館に入ろうと、逃げて来る人たちを押しのけていく。

 景が扉に手をかけると、バチンッと弾かれる。

「結界?」
 扉に触れようとすると、再びバチンッと弾かれる。


「入るためには…開かないけど…人は出られる…」
 景は、周りを確認しながら考えている。

(中は亜空間化しているってことね…)
 体育館を見上げて、打開策を考えていると、ピピっ携帯がなる。

「信司さん!今どこ?」
 かかってきたのは、信司だった。


  「体育館の中だ……」
 信司の声が、少し遠い。

「私…中に入れない…」
 景は体育館を見上げる

  「僕が中で…二人を探すから、君は…」
 信司の電話が切れた。

「し、信司さん!」
 景は携帯の画面を確認する。


 電波が圏外になっている。

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