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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

  「歩睦に精霊の加護を…」
 景の言葉を聞いた瞬間。ユティルか輝き始めた。


{歩睦!}
 ユティルが歩睦に手を伸ばす。

「ユティル!」
 歩睦もユティルに手を伸ばす。

 二つの手がシッカリ重なった時。二人の姿が輝き消えた。


     *


「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
 実がぐったりして動かない歩睦にすがって、泣いている。

「歩睦しっかりしろ!」
 楓は歩睦をしっかり抱きかかえている。


「実くん!歩睦くん!居たら返事してください!」
 信司が大声で二人を探す。


「あ!お父さん!」
 実か信司の声を聞いて、立ち上がる。

「お父さん!」
 実が大声で返事をする。

「実くん!」
 信司が真っ黒の動く物を避けながら、近づいて来る。

「……」
 近づいて来る信司を見て安堵する楓。

「あ!楓君が側にいてくれたんですね」
 信司が実の側に楓がいるのを見てホッとした顔をする。

「お父さん、お兄ちゃんが目を覚まさないよぉ!」
 大粒の涙を目にから溢れさせている実。

「信司さん!ぼくがいながら、すみません」
 歩睦を抱き抱えた状態で楓は謝る。


「謝ることはないよ…楓くんはいつも歩睦の事を守ってくれている。ありがとう。しかし、この状態ではダメだね…とりあえず、外に出よう!」
 信司は歩睦を背中におぶる。

「さっきから、景さんとも連絡が取れない」
 信司は携帯で景に連絡を取ろうとするが、かからない。

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