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精霊と共に 歩睦の物語

第12章 歩睦、知識を集める

「あゅぅ…」
 景は困った顔をしている。


「…ぁぅ…」
 歩睦の目に涙が集まってくる。




「歩睦…」
 信司が、歩睦の肩をポンと叩く。

「とりあえず、座ろう…景さん…温かいお茶入れてきて…」
 歩睦を座らせ、景に優しくほほ笑む。


「…そうね。お茶…入れてくる…」
 景は目を少し抑えながら部屋を出ていく。


 信司は歩睦向き合うように座って手を組む。

 景が帰ってくるのを待っているのか、黙ったまま動かない。



「父さん…」
 歩睦が小さく呼ぶ。


「…、あ、ごめん…どう、説明したらいいかなって考えてきた…」
 そう言うとまた、黙ってしまう信司。


(また…黙った…説明が難しいのかな…)
 歩睦は黙ったままの父の手を見ていた。



{歩睦…}
 ユティルの声が聞こえる。


(ユティル…って、バトルできる?)


{…歩睦が望めば…ね…}


(そうか…じゃ、僕は誰かと…何かと戦わなきゃいけないんだね

 秘密結社と戦うレンジャー?って事か…、じゃ仲間がいるのかな?
楓先輩の感じからして、組織的?地球防衛軍的?怪獣…あの黒い塊も怪獣に入るのかな?

 精霊とかいるから異世界ファンタジーRPG?じゃ職業は勇者かな?いや剣士か(笑)

 歩睦の頭では色々なヒーローが浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していた。


(でも、僕は守られてるから、貴族か?楓先輩が執事?違うな、楓先輩はどっちかというと、忍者ぽかったなぁ…!まさか!楓先輩は暗殺とかのヤバい系!)
 歩睦は、花火の夜の楓の動きを思い出している。

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