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精霊と共に 歩睦の物語

第12章 歩睦、知識を集める

「説明するね…っと言ってもどこから話そうかな…」
 信司は、傍に置いたお茶をまた口にする。

「信司さんは、全てを話そうとすると、時間がかかるわ。順を立てて話しましょう」


{僕も聞く!}
 ユティルが、歩睦の肩にぶら下がる様に現れた。

(わ!急に現れるなよ!)



「まず『橘花媛』の事からだね…昔、この巻物を見ながら話すよ」

 信司がテーブルに一巻きの筒を少しずつ伸ばしながら話しだした。

「…あ、うん!」
 意識がユティルの方を向いていて慌てる歩睦。


絵巻物は、前述のように紙(まれに絹)を横方向につないだ、長大な紙面に描かれたものである


 今から千年以上前。
天平14年8月に 葉多に隕石が落ちた


歩睦「平安時代だよね」

景「奈良時代よ」

信司「その頃、天然痘と言う疫病や、地震が続き、日本は混乱していた」

歩睦「学校で習ったよな気がする。
 不死の病だったんでしょ。
 今はもうない病気だよね」

景「ない…わけじゃないけど、今の医学では治療法があるから、直る病気なのは確かね」


 隕石は空から落ちてきた卑しい物。

 落ちたのがここ葉多である事に驚いた上皇は、災いが起こると恐れられ、凶を回避するため占いを斎王に頼んだ


歩睦「落ちた場所で災いが起こるの?」

景「ここは昔から都とつながりが多いかったのよ…」



 占いは

 『死の病を払った強気器より生まれ子、

  異国の神の子の助けを受け、

  橘の花を冠して災いを払う』

                 と、出た。


 急ぎ、天皇にこの占いの結果を告げる。

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