2人の男の攻略法②
第3章 歪んだ愛情
何時間そうしていただろう。
赤く腫れ上がった雪の皮膚は少しの刺激でも痛く感じるほどになっていた。
―――なんで?
なんで僕なの?―――
シャワーを止めることなく、ずっとそんなことを考えながら床にへたり込んでいた。
まるで壊れた人形のように。
なんで?なんで?と、
誰に問うでもなく、雪は言葉を発していた。
そして雪はそのまま意識を手放した。
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「たっだいま~~~~!!!
雪~遅くなってごめんね!
雪の好きな駅前のケーキ屋さんでお土産買って来たよ!!」
翔が大きな声を上げながら帰宅した。
仕事が思ったより長引いて、帰るのが遅くなったお詫びにと雪の大好きなケーキを手にリビングに向かう。
が、そこに雪の姿はない。
「あれ??雪?いないの~?」
室内が真っ暗な事に違和感を覚えた翔だが、どこかに出かけているんだろうと気にもとめなかった。
そんな翔にもひとつ気になることがあった。
雪の部屋の扉が開いていたのだ。
雪はとても几帳面で、ドアをあけっぱなしにすることなんてないのだ。
不審に思った翔は雪の部屋をのぞく。
―――――ん?なんか臭い――――
異臭に気づいた翔は部屋の電気を急いでつける。
ベッドの上の嘔吐物。
それを見つけるなり翔は何かあったんだと本能的に感じた。
「なに・・・これ・・・
雪?・・・雪!?」
雪の部屋を隅々まで見渡したが、そこに雪はいない。
ふと耳に入る水の音。
「バスルーム・・・」
そう思った翔は慌ててバスルームに向かう。