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初江「そんな風には見えないわね」
良江「面白がっているようにみえます」
幸江「いいじゃない。そんなのどうだって」
初江「もしかしたら、あんたも狙ってるっていうことはないよね」
幸江「私、まさか」
初江「ほんとうでしょうね」
幸江「ほんと、ほんと」
勇作「あいつのどこがいいんだよ」
初江「あんたよりはずっといいよ」
良江「こんな話、こそこそ聞いている人はもてませんよ」
勇作「こそこそ聞いてなんかないよ。君らの声は大きいじゃないか」
幸江「いいじゃない、いいじゃない。私らは部外者だから、黙ってましょう」
勇作「じゃあ、２人であっち行こうよ」
幸江「何で、私があんたと」
勇作「好きになりました」
幸江「勘弁してよ」
初江「いいんじゃない、２人は似合ってるよ」
良江「私もいいと思います」
幸江「あんた誤解を生むようなことは、いわないで」
勇作「きっと、隣に越してきたのは、２人が出会うためだったんだよ」
初江「そうだね。私もそう思う。パパに認めてもらえば」
勇作「パパ」
初江「おじさん、おじさん」
良江「それって、許婚なんじゃないですか」
初江「そうだわ。どうすんのよ、勇作」
勇作「許婚かあ。よし、分かった、帰ったら親父とお袋に相談してみるよ」
初江「それはいいわ。そうしなさい」
良江「よかったじゃないですか。おめでとうございます」
幸江「ちょっと、私、ほんとうに怒るよ」
勇作「恥ずかしがる必要ないよ」
幸江「うるせえ、あんたは黙ってろ」
初江「分かったよ。冗談、冗談。でも私は、お似合いだと思うよ」
良江「そうですよね。幸江さんは、勇作君のお父さんのお気に入りですからね」
幸江「ほんとう、あんたら怖いわ。私にも好みはあるよ」
勇作「でも、せっかくみんなが言ってくれてるんだから、ねえ」
幸江「なによ。ねえって」
初江「それじゃ、この話は、家に帰ってからにしようよ。今ここで結論はでないよ」
幸江「でてるって」
良江「そうですね。幸江さんは意外と、うれしそうにしてますから、勇作君、あきらめたらだめですよ」
勇作「ありがとう。分かった」