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パパはかわら版

第4章 パパはかわら版C

雲行きが怪しくなってきてたが、3人は、何とか寺子屋に着いた。傘も家にはあったが、2本しかなくて、橋龍に一本はおいていけといわれたので、持たないできた。授業は、2時限まで終わると休み時間があって、その後に1時限受けるようになっていた。この頃は、一日3食というわけではなかったので、飯を寺子屋で食べるという習慣はなかったが、それでも、おにぎりや団子を持ってくる子はいた。もちろん、禁止されていたので、親に黙って、買ってきたりしていたものだったのだろう。

勇作「ねえ、君らも食べる」
初江「なにを」
勇作「おにぎり」
良江「禁止されてるんじゃないですか」
勇作「堅いこと言うなよ。みんな持ってきてるじゃないか」
幸江「あんたが作ったの」
勇作「いいや、おやじだよ」
良江「勇作君の家では、お父さんとぐるでそんなことをやるんですね」
勇作「君ら知らないんだよ。来年から、お昼ご飯をもってきてもいいことになるみたいだよ。だから、先生も文句は言わないんだ」
幸江「ええ、ほんとうなの」
初江「なんだ、それだったら、私らも欲しいね」
良江「太りますよ」
初江「どうだろうね。あんたと私ではどっちが太ってると思う」
良江「たとえですよ。たとえ」
勇作「何か2人こわいね。どうかしたの」
幸江「いいや、これには深い事情があるのよ。ほら直也君のことでもめてるの」
良江「幸江さん、勇作君にそんなこという必要あるんですか」
初江「そうだよ。バカにしてんの」
幸江「いやいや、バカになんかないよ。何だったら、私が力になろうかなって思ってるぐらいよ」

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