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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

橋龍はかなり酔いが回ってきた。だいたい、こうなると、だんだん口を滑らすか、口説くかで、やっかいになっていくのだ。しかし、そのときこの店では珍しく客同士が口論をし始めた。女中の取り合いかなにかだった。

客A「俺はずっと待ってたんだ。いつまで待たせるんだ」
客B「俺が帰るまで待ってろよ。文句があるんだったら、今日は帰って明日こい。店は毎日やってるんだ」
客A「お前はどこの者だい」
客B「なんだ、やろうってのか。俺はかまわないが、恥をかくのはお前の方だぞ」
客A「残念だな。俺は腕にだけは、自信があるんだ」
亭主「すいませんね。ここは、私ら堅気の商売場所でして、喧嘩をなさるなら、外でお願いします」
客A「なんだい亭主、そのいいぐさは。俺らはつまはじき者だってえのかい」
客B「俺ら。そんなこたあねえだろ、亭主はおめえのこといってんだあ」
客A「なんだとお」
亭主「いいえ、ですからね。やくざ者だといっているわけではありません。ただ、ここは、楽しく飲む場所です。それだけは、守ってもらえなければ、どなた様であっても、お断りしたいといっているのです」
客A「やい、でけえ口たたくじゃねえかい。それで俺らをどうしようってんでい。用心棒でも雇ってるんかい」

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