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亭主「いいえ、あなた方のような人でも、ここでは礼儀正しく飲まれる方が多いのですよ。別に用心棒を雇ってるなどと言うわけではないし、腕に自信があるというわけではありませんが、女中への接し方、他のお客様への横暴は、このあたりの店はどの店も、一切許していません。私は、それに倣っているだけです。ですから、どうぞ、お引き取りを」
客A「てめえ、よくも言ったなあ、恥かかせやがって」
亭主「どうぞ、今日のところは」
客A「ふざけんなあ。それで済むと思ってんのか」
まあ、このやり取りをみて、声を張ったのが礼子だった。
礼子「ぐだぐだうるせいんだよ。あんたみたいな、無粋なやつは見たことないやい。どこのちんぴらか知らないが、とっとと消えな」
客A「なんだてめえは、女中が客に説教すんのか」
礼子「にいさん。女中、女中とバカにするんだったら、ここへは、金輪際こないほうがいい。あんたみたいなもてない男がくる場所じゃない。あんたがバカにしてる女中と楽しむところなんだよ、ここは」
ちんぴらにびびったのか、礼子に圧倒されたのか分からなかったが、その場は、しーんと静まり返った。