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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

幸江「ねえ、パパ。このおみそ汁おいしいよ。私達が作ったのよ。飲んでみてよ」
橋龍「私はいいや」
幸江「それって、酷いよ。せっかく作ったのに」
橋龍「弁当についているじゃないか。ああ、これはおいしい」
初江「食べる気なんてないと思うよ。私達がどんなに一生懸命作っても」
橋龍「君ら、朝ぐらいもっと静かにしなさい。そんな、ぺちゃくちゃしゃべりながら食べるもんじゃないだろう。そんなんじゃ、いい女中になれないぞ」
良江「なんですか、女中って」
初江「きっと、飲み屋の女中よ。昨日飲んできて、まだ酔っぱらってるんだ」
橋龍「ゴホン。誰が飲み屋の女中の話してるんだ。みんな立派な大人にならなくちゃいけないんだぞ。たしなみだ、たしなみは必要なんだ」
初江「そうなの。食事はみんなで楽しく食べた方がいいでしょ」
良江「そうですよね。なんか、おじいさんみたいなこといいますね」
橋龍「君らな、私が子供の頃は、親と一緒に食事するときは、不作法に気をつけて、緊張して食べたもんだ。そういうのも必要なんだ」
良江「時代は変わりましたね。隣の勇作君の家も、お父さんとは仲良くしてますよ」
橋龍「なにいってんだ。よその家は、よその家だ。それにあそこは、普通じゃないだろう」

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