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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

礼子はまだまだこれからの女中だったが、祐子あたりは、もしかしたら、もうすでに年齢は、定年をこえていたかもしれない。この時代は、はっきりした年などなかなかわからなかったので、居直っていたがもうそろそろ、頃合いだというのは、誰にでも分かった。女中の、その後となると、結婚でやめていくことが多かった。ただ、借金のかたに働くということも全くなかったわけではないようだ。それでも女郎とは違い、大きな借金を抱えていたというわけではなく、額は少なかったのかもしれない。礼子が働いていた飲み屋は、借金をかたに働かせると言うことはしなかったが、借金を抱えている娘が働いていると言うことはあったかもしれない。女中の中には、身請けのような形でやめていく人もいたので、芸者や女郎と同じような人生を送る人もいただろう。それでも、基本的には、なりたい人がなる職業だった。もちろん、収入はよかったので、着飾ったりもしたが、しかし、この職業はいつまでもやれるものでないことを考えると、バランスを取るのがほんとうに難しい職業だった。

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