テキストサイズ

パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

初江「へえ、そんなのほんとうに楽しい。こっちが金払ってるのに。いちいち気いつかっていうの」
良江「そんなに気にくわないなら、寝てたらどうですか。分からないものはしょうがないですよね」
初江「あんただって分からないでしょ。何をしってんのよ」
良江「知ってますよ、日本一の歌舞伎役者ですよ。きっと、一生見られませんよ。とにかく、お父さんに感謝しないと」
初江「こんなつまらないの見せられて感謝しろって、私だって、面白いかつまらないかぐらい分かるのよ」
良江「そうなんですか。」
初江「なんだよ」
橋龍「ちょっと、君ら静かにしなさいよ。何、こんなところで喧嘩してるんだ。この演目は、市川団十一郎が一年に一回しかやらない演目なんだ。みんな、それを楽しみにしてるんだぞ」
初江「だって、つまらないんだもん」
橋龍「うん、なんだ」
幸江「いいえ、いいえ、なんでもありません。もう喧嘩はしません。ねえ、初江ちゃん」
初江「なによ」
幸江「帰りには、みんなで食事して帰ろう」
初江「ええ」
幸江「ねえ」
初江「はいはい。おとなしくしてます」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ