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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

初江「なんだ。じゃあ、人のこといえないじゃない」
橋龍「私の家はね、商売をやっていてね、あまり、面倒見手もらった記憶はないな」
幸江「ええ、パパのお父さんてどういう人」
橋龍「お父さん、そんな話いいだろう」
幸江「だって、私達のおじいちゃんじゃない。少しくらい聞かせてよ」
橋龍「なんだよ。それは、わからないだろう」
幸江「いいじゃない、少しぐらい」
橋龍「とにかく、怖かったよ。毎日怒られてた」
初江「何だ、それじゃ、遺伝じゃん」
橋龍「私よりも怖いんだよ。毎日睨み付けられているようだった」
初江「そんなに変わらないと思うけど」
橋龍「私はね、とにかく、商売人にだけはなりたくなくて、瓦版になったんだよ」
初江「私達からも逃げるように、おじいちゃんからも逃げたんだ」
橋龍「違う。私は長男じゃない。もともと、家は出るしかなかったんだ」
幸江「パパは家には帰らないの」
橋龍「もういいよ。君らもしつこいね。どうだ、おいしいだろ」
初江「ねえ、パパ、今度ディズニー屋敷に連れてってよ」
橋龍「なんだ、そのディズニー屋敷ってのは」
初江「お台場にできた、遊園地みたいなもんよ」
橋龍「お台場。なんだよ。あっちのほうまで、いってられる訳ないじゃないか」
初江「今、みんないってるんだよ。知らないの」
橋龍「今日、歌舞伎見ただろう」
初江「だって、あんなのつまらなかったよ」
橋龍「うるさいな、それだったら、一人で行って来い」
初江「いけないからいってるんじゃない。ねえ、あんたちも、いきたいでしょ」
幸江「そうね、いきたいっちゃあ、いきたいけど。まあ、それは無理なんじゃない」
良江「そうですよ。お父さんの機嫌損ねるだけです」
初江「あーあ、あんたら乗りが悪いなあ」

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