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パパはかわら版

第6章  パパはかわら版E

時枝「あら、そう。でも、うちの方は迷惑と言うことは一切ありませんのよ。ただ、橋龍さんの方で迷惑かなと思ったくらいで」
初江「迷惑だなんて、とんでもないですよ。これだけ、親切にしてもらってるのに」 幸江「そうですよ。勇作君のお父さんには、料理までいつも教えてもらってるんですから」
橋龍「すいません、ほんとうに。ただ、こういったことは子供たちを甘やかすことになってしまうので、それはよくないと思うんです」
時枝「あら、そうですか。それは、うちでも考えていたんですけれど、これだけ大勢で、楽しむっていうことは滅多にできることではありませんから、是非にと思ったんです。3人の姪御さんが来てからというもの、なんか私も子供の頃に戻ったみたいで、懐かしさを感じてるんです。この長屋は、人付き合いがあまりありませんからね、こういうこともきっとこれっきりありませんわよ。この子たちは、子供だとは言っても、あと2,3年したら、もう立派な大人です。私達がしてあげられることも、もう多くはないんじゃないでしょうか」
橋龍は、子供たちを見渡して、本当にしょうがないなという顔をしたが、時枝には、それではお願いしますと最後にはいってしまったのだ。なにしろ、橋龍は、美人に弱いので、時枝にいわれれば、断ることはできなかったのだ。時枝には貫禄で負けてしまっていた。

第5話 完

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