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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

このあたりは、なかなか遊ぶところがなく、子供たちが集まる場所というのが、なかった。その代わりというわけではないのだが、寺子屋にひろばがあって、そこが遊び場になっていた。寺子屋は、基本的な学習しか教えないところで、お侍の子息ともなれば、藩の学問所に通うのだが、それでなければ、高名な学者の私塾などに通うこともあった。勇作はというと、近所の寺子屋に通い、もしできがよければ、私塾を目指すという商家にはよくある進路通りに、就学していたのだが、まあできがいいというわけではなかったので、将来はどうなるやらという程度の展望しかなかった。3人娘は寺子屋には通っていたのだが、それは橋龍のところに来るまでのはなしで、今は昼間はごろつきのようになっていた。3人はすることもなかったので、寺子屋へいって、授業をする様子を遠目に見ていた。

初江「私は、あんまり勉強って好きじゃないけど、やっぱり寺子屋は友達がいて、楽しそうだね」
幸江「私も。最近ほら、家でごろごろしてるじゃない。もうだんだん飽きてきたから、通いたくなってきた」
初江「幸江ちゃんは、有楽町だから、友達に会おうと思えば、ここからでもいけるんじゃない。私は、遠くて、もう友達には会えない」
幸江「そりゃ、いこうと思えばいけるけど、通える距離ではないわよ。私は、お母さんが突然いなくなっちゃったから、家もそのままにして出て来ちゃったけど、どうなってるかな」

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