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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

幸江「まあ、いいじゃない。パパはパパなんだから、子供かどうかも分からない私達を置いておいてくれるだけでも、きっと凄いことだよ。それにしても、やっぱり寺子屋はいいね。通いたい」
良江「私も、成績が落ちるのは困ります。できれば、有名私塾に入れたいというのが、お母さんの夢だったので、私も早く通いたい」
初江「でもねえ、パパがなんて言うか。あの人が、そんなことを簡単に認めてくれるとは思えない。身元がどうだとかこうとか言うんじゃないの」

どうやら、時間が来て、みんなが出てきた。ざっと見て100人から200人はいるようなおおきな寺子屋でその中には、勇作もいた。勇作は、3人を見つけて、近寄ってきた。勇作は、3人にどうしたのと聞いてきたが、3人は、別に相手にするわけでもなく、家路についた。ところで、橋龍の方は、平凡屋で、版説の準備をしていた。そのとき、左吉が頼み事を調べた結果を報告してきた。

左吉「この間の件ですが」
橋龍「この間」
左吉「子供たちの、身元ですが、一応調べたんですが、横浜の件はやはり、そう簡単にはいきません」
橋龍「ああ、そう、それで」
左吉「はい、えーと、幸江ちゃん。幸江ちゃんは、有楽町の長屋に、住まいがありました。どうやら、そこに母親と住んでいたようです。ところが、最近は見あたらないとのことでした。近所の人の話では、男ができて、どっかいっちゃたんじゃないかというようなことです。それも子供は置きっぱなしだったようです」
橋龍「なんだ、それ」
左吉「それで、幸江ちゃんもその後いなくなったようですが、どこへ行ったかは分からないとのことでした」

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