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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

橋龍は、久しぶりにでろんでろんになるまで飲んだ。子供がいなくなった開放感は、やはり大きかった。誰もいない家、水を飲み、なんか幸せになった気分でその一日は終わった。

橋龍は、起きてからいつも通り、書斎で本を読んでいた。時間が来て、平凡屋に出かけようとしたとき、玄関で、勇一にあった。勇一は、最近、子供たちを見かけない話をしたが、橋龍は、帰ったといった。もともと子供たちは、勝手に出ていったので、それほど気にもしていなかったわけだが、帰ってきたらどうしようとかいうのも考えていなかった。弥生とのことを考えても、ほんとうにできれば、帰ってきて欲しくなかったのだ。それよりも、なによりも、自分の生活のリズムを乱されるのが、嫌だったといってもいい。勇一は、寂しいなあ、もっと仲良くできたらよかった。今度来たら、家に必ずよるようにいってくださいということを橋龍に伝えた。橋龍も分かったといった。そして、橋龍は、平凡屋に着き、今日の版説の打ち合わせをした。だいたい、橋龍が到着する頃には、取材は終わっていて、記事の選択と、見出しをそこで決めることになっていた。そしてすぐに、刷りにまわし、お昼には、版説をするのだ。版説が終われば、食事をすまし、また平凡屋に帰ってきて、次の日のための取材の打ち合わせや調べものなどをして、一日は終わるのだった。この日も、いつも通り仕事をこなし、帰りは、一杯やることにした。今日は、女中相手ではなく、誰もが気軽飲める一杯屋で飲んでいた。というよりまだ飲み始めたばかりだった。そこに女性が現れたのだ。橋龍は、一目で昔自分がつきあっていた女性であることが分かった。

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