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パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

橋龍は、それを聞いて、ここで子供たちの帰りを待つことにした。もうしょうがないのだ。子供たちが自分の子供である可能性はほんとうにあるのだ。幸江の母親の法子も彼は、知っていた。彼女も飲み屋の女中だった。陽子と比べれば、つきあった年月は短かったが、それでも同時期につきあっていたのは間違いなかった。それなりの金を渡して、手を切ったのも確かに覚えている。果たして、その子が自分の子であるかどうかといわれれば、そうでない可能性もあるだろうが、それでも自分の子である可能性はあるのだ。というより高いのかもしれない。どことなく、幸江が3人の中では、橋龍に一番似ていた。橋龍は、楽観的で自分のことしか考えていないようなところがあるので、そんなに子供たちのことを考えるということはしなかったが、この寒空のした子供たちを待っていれば、否応なしに考えざるおえなかった。3人が自分の子供であるかどうかというのはあるが、それでも陽子とあって、厳しい現実を改めて突きつけられたのだ。ここにいたって、橋龍も子供たちと向き合わざるおえなくなったといっていいのではないだろうか。橋龍が、思いを巡らせる一方で、時はどんどん過ぎていった。夜も深まり、日が暮れてから一時か二時がすぎて、橋龍も今日は帰るしかなくなった。一方で、子供たちはというと、勇作の家にいた。勇一には、橋龍さんが子供たちは帰ったといっていたけど、どうしてたのと怪訝そうにいわれたが、そこはなんとか適当に誤魔化した。勇作は3人がきたのをかなり喜んでした。今日は、家に帰る魂胆もあって、3人は、勇作を心ならずも持ち上げていた。少し勇作を調子に乗せてしまったが、そこに時枝が帰ってきて、みんなで食事をすることになった。

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